2008年10月号掲載 THA BLUE HERB

幕末を経て、
今も多くの日本人に影響を与えている高知。
当日、濃密な時間を楽しみましょう。


●高知は初めての登場となりますが、高知の印象などあればお願いします。

俺自身、高知という土地に対する思い入れは勝手にたくさんあります。やはり幕末ってことですね。あの時代、高知から中央に出て行った男達の存在、生き様は俺に限らず、今でも多くの日本人に影響を与えていると思いますよ。そこでは多くのエピソードの背景として、そして戻るべき故郷として常に高知は語られていました。遠く札幌でいつも高知はどんな街だったのだろう、今はどんな街なんだろうと思っていました。

●ずっと札幌を拠点に活動されてますが、それはやはり地元で活動したほうが、最高の音を発信できるという思いもあったから?
純粋に俺は札幌でHIP HOPそのものを知ったし、そこから発展して沢山の音楽を知る事が出来ました。これは俺に限った事なんですが、日本中の各街をライブとかで回ってみて、世界のあちこちを旅しながら回ってみて、無論それぞれに良い所はありますが、音楽を浴び、学び、そこから新しいものを創るという場合、俺にとっては札幌がやはりベストですね。最初は札幌が俺の世界の全てだったので、それが当たり前と思っていました。後でその事実を実感したという感もあります。

●唯一無二なリリックを表現し続けているILL-BOSSTINOさんですが、HIPHOPという音楽を通して伝えたいこととは? また、リリックを書く時に気をつけていることなどはありますか?
その時、その世代、その時代、音楽を創る時によって俺の思っている事も変わってきます。そしてその中心に変わらないものがある。変わらないものってのは、それを守り通すことで存在でき得るという事。そして人生とは変化を伴うという事。相反する2つの間で感じる事を、正直に伝えていきたいと思っています。

●様々なジャンルのアーティストと、コラボレーションや交流がありますが、影響を受けて作品に反映することもあるんでしょうか? 
そうですね。事実、素晴らしいアーティストが俺の周りには沢山いるので、常に影響を受けてはいますね。しかし彼等は俺にとっては同時にライバルなんで、自分自身にしか出来ない何かを探している事の方が多いかも知れないですね。

●アルバム「LIFE STORY」は、それまでの作品よりも「普遍的でありつつ進化した」印象が強かったんですが、THA BLUE HERBさんにとって、このアルバムはどんな一枚になりましたか?
この3.4年に俺の身の回りで起きた事、そこから俺が感じた事、そしてこれから俺が生きていくために必要な思想がそこでは鳴っています。リスナーにとってこれはどう感じるかははっきり言って人それぞれなんで、彼等の感じ方は限定しません。ただ、俺はここで語られる言葉に正義を、真理を感じているし、これからの表現もここから発展していくと思っています。

●今回全国ツアーを行いますが、ライブパフォーマンスにおいて重視していることはありますか?
シンプルに毎回、毎回、魂を燃やす事ですね。

●10月21日に開催する初の高知ライブ、楽しみにしているオーディエンスに一言。
俺等も初めてって事で気合いが入っています。言いたい事は山ほどあります。同じ時代に、同じ国に、同じ言語を共有しながら生きている偶然を、一晩で必然に変えるような意味のある夜にしたいと思っています。

●中には「当日、初めてTHA BLUE HERBの音を聴く」という人もいると思うんですが、そんなオーディエンスにも一言お願いします。
当日は透明な数億の言葉が、意味をそれぞれ伴って、空中を切り裂き、一人一人の心に突き刺さってきます。意識しないとそれらはすぐに消えていきます。そして次の言葉が心に沈殿する。それの繰り返しです。一つくらいはそれぞれの今の状況にフィットする言葉があるはずです。その中にはあなたがずっと言いたかったけれど言葉にできなかった言葉があるかも知れない。あなたがずっと言われたかった言葉があるかも知れない。そこは、底は非常に濃密な時間です。楽しみましょう。

●最後に、高知で頑張って上を目指している若者達にメッセージをお願いします。
ライブで言います。是非、来てください。

 


ブルーハーブ

ラッパーILL-BOSSTINO、トラックメイカーO.N.O、ライヴDJ DJ DYEの3人からなる一個小隊。1997年の結成以後も札幌を拠点に、自ら運営するレーベルよりリリースを重ねてきた。HIP HOPの精神性を堅持しながらも、多種多様な音楽の要素を取り入れ、1MC1DJの極限に挑む音と言葉のぶつかり合いが発する情熱は、各地の音楽好きを解放している。

3rd Album「LIFE STORY」
3150円・発売中 5年ぶり3枚目となる本作は、メンバー個々が様々な放浪を経て辿り着いた最高傑作。EGO-WRAPPIN’の中納良恵をゲストに迎えた曲も収録。

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