2008年3月号掲載 般若帝國

これからも「古い、難しい」という尺八の印象を
打破できるアーティストでありたいですね


●高知には何度か来られてるそうですが、印象は?
小湊昭尚(以下、小)‥いつもカツオが美味しい季節に呼んで頂く機会が多くて、3日居れば5回は食べてるぐらいの印象があります(笑)それに、自分は元々民謡を生業にしている家元に生まれて、子どもの頃から歌っていたので、有名な民謡などがある高知の事は知ってたんですよ。日差しが違うし、温かくて、過ごしやすくて、長居したくなる素敵な街ですね。

●般若帝國という名前、すごいインパクトですよね。
小‥まさに、そのインパクトが欲しかったんです。尺八は「古い物だ」というイメージがあると思うんですが、それを崩したくて、昔からの知り合い3人で始めた部分もあったので。名前を決める時、元々尺八は禅の流れから来てる事もあって、般若心経とも通じるから「般若」はアリだねという話になったんですけど、般若だけじゃちょっとイカつすぎる。じゃあ「どういう事をウチらがしたいか?」と考えた時、尺八は新しいジャンルじゃないけど、自分達と同じようにいろいろ新しく作っていくであろう後輩達に、「伝統や流派に縛られなくてもいいんだ」と提示してあげたい、自分達スタイルの世界を作りたい、という事で「帝國」に決めました。国を作るみたいに、全国展開出来たらいいなという野望プラス、海外での演奏も見据えて、漢字で名前を付けたんです。


●尺八アンサンブルの楽曲は初めて聴いたんですが、雅な世界観を持ちつつ、アグレッシブさもあり、正直驚きました!
小‥やっぱり尺八のイメージって、古めかしいとか、敷居が高いとか、皆さんが思ってらっしゃる印象通りなんですね。実際、伝統邦楽の世界もそうなんですけど、僕らは世の中にあるポップスを聴いて、西洋音楽の教育を学校で受けてきたから、やりたい音楽も今まであった音楽を守るんじゃなく、新たに作り出したいと思う世代なんですよ。その中で、僕達が持った楽器が尺八だったというだけで、新しい事をやりたいと思った結果、自然と今のスタイルになったんです。「尺八は他の洋楽器にも負けてない、自分の国にはこんな素晴らしい楽器があるんだ、どうだスゲーだろ」って伝えたいし、曲もメタルちっくなものや伝統的なもの、それに現代曲まで幅広いんです。これからもいろんなニュアンスを混ぜこぜにして、般若帝國という音楽スタイルを作っていきたいですね。

●3月19・20日と高知ライブも行われますが、読者に一言!
小‥例えば、ポップスを尺八で1曲吹いただけで、初めて聴く方は「そんなの出来るんだ!」って本当にビックリされるんですね。だから、来て頂ければ期待を裏切る自信はあります。19日は3人だけの生ライブ、20日はピアノとドラムと、我々3人の5ピースライブなんです。だから、2日とも内容が違うし、他の場所では聴けない、ツアーの中でも高知だけ特別なラインナップになるので楽しみです。3人ともキャラクターも全然違うし、面白い金髪も混ざってますので、「今までの尺八のイメージ」との違いを楽しんで頂けるんじゃないかと思いますね。