「イエナプラン教育」に学ぶ子どもとの関わり方

キッズニュース高知市

こんにちは。ママ編集部の西森です。
突然ですが、皆さんは「イエナプラン教育」って聞いたことがありますか。

イエナプラン教育とは、ドイツで生まれオランダで広がった教育モデルで、”子どもたち一人ひとりの個性を尊重しながら、自律と共生が学べる”と、日本でも年々注目度が高まっているそうです。

今回は、認定こども園として全国で初めてイエナプランスクールの認定を受けた桜井幼稚園や芸術学園幼稚園などを運営する、学校法人やまもも学園の佐竹真紀理事長に「イエナプラン教育の魅力」と「おうちでもすぐに実践できる子どもとの関わり方」についてお話を伺いました。

イエナプラン教育とは

--イエナプラン教育の特徴を教えてください。

イエナプラン教育には、「人間」「社会」「学校」の3つの要素について記された「20の原則」があり、これに基づく教育理念が掲げられています。

この20の原則には、変化の激しいこれからの時代を生きる上で、子どもたちの豊かな人間性や生きる力を育むためのヒントがたくさん書かれているので、ぜひ1度読んでみてください。

20の原則を見る

子ども達が自ら考え行動することや、お互いの違いを認め合うことなどを重視していることから、こども家庭庁が現在進めている「子どもを真ん中に置く」保育の実践版とも言えますね。

イエナプラン教育に学ぶ子どもとの関わり方

--イエナプラン教育の魅力と、家庭でもすぐに実践できることがあれば教えてください。

イエナプラン教育にはたくさんの魅力があるのですが、例えば、”コミュニケーション能力の向上”や”問題解決能力の向上”、そして”自己肯定感が育まれること”などがあげられます。これらは、子ども達が目まぐるしく変化するこれからの時代を生きていくために必要な力です。

イエナプラン教育の理論を取り入れて、やまもも学園で実践している子どもとの関わり方を、ここでは3つ紹介させてください。

常に意識するのは難しいかもしれませんが、できる範囲で心がけていただくと、子どもたちがみるみる変わっていきます。

①自分で選べる環境をつくる

子ども達の主体性を育むために、桜井幼稚園では園庭に植える野菜を子ども達で話し合って決めています。地域のお店に出向いて苗の育て方を教えてもらったり、採れた野菜を給食に使ってもらえるよう厨房の方に交渉したりと自分達で考える機会を増やしています。

自分の意見や考えを表現し、それが受け入れられる経験を積むことで自己肯定感が高まります。仮に、お友達と違う意見になった場合も、子どもたち自身で話し合って合意を導く力が養われています。

②対話をする

イエナプランスクールでは、子どもたちが輪(サークル)になって、運動会や発表会の催しのことや日々の生活のことまで、自分達の考えを話し合う時間を作ります。例えば、芸術学園幼稚園ではダンゴムシやカエル、カニなどを捕まえてお部屋で飼う時も、餌やケースの掃除、生き物の生態のことまで話し合い、子ども達が主体となって物事を進めていきます。

対話を重視することで、友達を信頼し、尊重する気持ちが生まれると同時に、自分を大切にすることができるようになります。

毎日、異年齢で遊んでいることから、得意なことや不得意なことを教えたり、教えられたり、また、頼ったり、頼られたりする中で、お互いに助け合いながら成長し、生きる力が自然に備わります。

③待ってみる

上手にできなかったり、遅かったり、危なっかしかったり… 大人がつい口を出し、よかれと思って先回りしてしまうことがあると思うのですが、危険な場合を除いては、ぐっとこらえて少し待ってみてあげてください。

例えば、お友達を叩いてしまったり、電車で騒いでしまったりする時も、すぐに叱るのではなく、「どんな気持ちで叩いたの?」「電車で騒ぐと周りの人はどんな気持ちになるかな?」などと問いかけ、ひとりの人間として子どもをとらえ、大人と同じ目線で対話をしてみてください。そうすることで、子ども達は自分の思いを受け止めてくれたと感じ、そこから他者の気持ちを考えることに繋がっていきます。そして、徐々に自律心や社会性が育まれていきます。

また、子ども達が喧嘩をしてしまった際、教員があえて間に入らず、少し静かな場所に移動させて、子ども達同士で話し合ってもらうこともあります。「どういうお話になったか後で教えてね」とだけ伝えて近くで他の作業を行い、気にしていないそぶりをしながら見守っていると、お互いの気持ちをしっかり伝えあい、明るい表情になって仲直りができています。

このように、子ども達に自分で考えて行動する時間を与えるために”待つ”ことは、とても大切です。子どもを信じて待つことは、子どもに対する信頼の表れなので、子ども達は自分が尊重されていると感じて大人との信頼関係も強まります。

以上のような取り組みを桜井幼稚園や芸術学園幼稚園では行っています。園の普段の様子についてもう少し詳しく知りたい方はぜひHPをご覧ください。

桜井幼稚園の園生活を見る

芸術学園幼稚園の園生活を見る

小・中一貫校の開校構想

--2027年度に、イエナプラン教育を取り入れた小・中一貫校の開校を目指しているそうですね。どうして学校を作ろうと思われたのかを教えてください。

今後の高知のため、そして子ども達の未来のために、”今できることは何なのか”を考えた結果、小・中一貫校の開校を目指すことにしました。

私は画一的な教育や学校現場で、子どもたちが考えない・考えられないという状況に課題を感じています。そして、都市部では教育の多様化が進みつつありますが、高知ではまだまだ知識を教え込む偏差値重視の教育や、教員は教え指導する立場であるとの認識が主流です。

--イエナプラン教育を取り入れて、どのような学校を作りたいと思われていますか。

イエナプラン教育では、「その子が何を求めているのか」「その子は何を伸ばしたらいいのか」といった強みや関心に寄り添い、自律させ、人生を歩む土台を一緒に作ることを大切にしています。また、教員はともに学び、ともに生きる存在で、同じ目線で子どもたちの言動や行動を面白がり、尊敬し、信頼し、導く役割を担っています。

これらの理念を体現させた、人間力が育つ「やまもも小中学校(仮称)」を作りたいと思っています。そして、「やまもも小中学校(仮称)」をモデル校に、高知の教育が変わるきっかけになればと願っています。

外国の教育方法が、日本の教育に馴染むのかという疑問の声を耳にすることもありますが、その土地土地に形を変えながら根付くのもイエナプラン教育の魅力です。既にオランダを中心に世界各国で実施されており、日本でも長野や広島、愛知などの公立でも私立でも広がっていて、日本の教育ならではの良さを取り入れながら日本独自の教育として根付いています。

--イエナプラン教育について、もっと知りたくなりました!

これまでも、保護者の方や行政職員、子ども達に関わる職種の方や地域の方を対象にイエナプラン教育に関する勉強会を行ってきました。

また、やまもも学園では月に一度、保護者を対象にイエナプランのお話し会を開いています(一般の方も参加可)。

今後は更に、イエナプラン教育について学ぶイベントや勉強会を企画していきますので、ぜひ足を運んでみてください。子ども達の可能性を信じ、一緒に高知の教育について考えていただけると嬉しいです。

--最後に、お知らせがあるそうですね。

11月6日(水)にイエナプランの講演会を高知県民文化ホールのグリーンホールで開きます。イエナプランの第一人者リヒテルズ直子氏がオランダから来高し、講演をされる貴重な機会です。会ではイエナプラン小中学校についてもお話します。無料で行いますので大勢の方のお越しをお待ちしています。

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