階段を登ると膝が痛い! 正座ができない! 慢性的な膝の痛みの治療の最新事情

海里マリン病院

開催日時29227

年齢を重ねるとつらい痛みの、膝や、股関節、関節など…原因は様々ではありますが、今回、高齢者に多いつらい膝のお悩み=「変形性膝関節症」について海里マリン病院の中谷院長に相談してみました。

 

 

Q1. 高齢者に多く見られる「変形性膝関節症」って?

A.

 クッションの役割をする膝軟骨がすり減ることで発症する疾患です。原因は、関節軟骨の老化やリウマチなどの疾患からくるものや外傷などと言われています。症状が進行すると膝の骨同士が直接ぶつかり、痛みを伴い、歩くのが困難になる方もたくさんいるつらい病気です。

 

Q2. 「変形性膝関節症」の治療方法はどんな方法?

A.

 「変形性膝関節症」の治療は、大きく分けると、軽度の症状には、投薬、注射、ヒアルロン酸、リハビリで様子を見る方法と、重度の症状には、人工関節を用いた手術を行う2つの方法があります。さらに近年では、本来備わっている組織の修復力や再生能力を引き出し、痛んだ関節軟骨や靭帯などの回復を目指す再生医療「血液由来のバイオセラピー(APS療法)」という第3の治療法「自然治癒力」を用いた修復が導入されるようになりました。

 

 

Q3.「再生医療」ってどんなもの?

A.

 2000年頃から、アスリートが靭帯や腱、軟骨を損傷した際に再生医療を用いた治療を受けたことで、ご存知の人もいるかもしれませんが、自分の血液の中から、損傷した部位を再生させる成分を取り出し、患部に直接注射する治療法で、組織の修復や痛みを抑える効果があります。

 

 

Q4.「 APS療法」の治療の方法は?

A.

 約1時間の3ステップで治療は終わります。①自身の少量の血液(55cc)を採血。②キットを用いてAPS炎症を抑える良いタンパク質と軟骨の健康を守る成長因子=自己タンパク質)を抽出。③これを1回注射するだけで痛みと炎症を抑える効果が期待できる治療法です。治療は日帰りで終わり、麻酔は必要ありません。

今回インタビューした中谷院長からの注意点

 変形性膝関節症については、これまで一般的で安定した成績を残してきた薬物療法や手術療法に加え、新たに再生医療であるAPS療法が登場しました。APS療法は再生医療法に基づく治療で、体への負担も少なく高い安全性が確保されるため、高齢者の方でも問題ありません。痛みの改善は、投与後1週間ほどで効果を実感する方もいますが、通常、1ケ月から3ケ月程度で効果が現れ始め、3ケ月から6ケ月で最大化し、2年以上の効果があるケースも報告されています。

APS療法は、まだ国内で始まったばかりの治療法なので健康保険が適応しておらず自由診療です。ですが、何年も痛みと戦いながら投薬の治療に通院するよりも、年を重ねてもアクティブな活動ができることや、意欲的に仕事ができる生活で豊かな人生を歩むための選択肢として治療の幅を広げています。

 

 

 

 

そんな院長がいる海里マリン病院とは?

 

1991年の開業以来、関節リウマチや変形性関節症といった骨・関節疾患を主な対象に、地域に根差しながらも県外からも多くの患者様に利用される病院として診療を実施している。2019年12月末時点での人工関節手術件数は9550件と国内有数の症例数を有し、県下に多様な医療・介護のネットワークを構築することで、手術後も安心して生活ができるような環境を整えてきた。また、「マリン病院」の名の通り、待合室や病室からは太平洋と浦戸湾を一望でき、南国の燦々と降り注ぐ太陽の光のもと、落ち着いた環境で療養生活を送ることができる病院である。

 現在は、9名の整形外科医のほか、リウマチ内科の専門医を常勤で配置し、疾患に対し外科的にも内科的にもアプローチができる体制を整えており、理学療法士・作業療法士といったリハビリ職や、入院時の栄養指導を行う管理栄養士などのスタッフを充実させ、一人ひとりの患者様に対し多くの医療専門職が一つのチームとなって治療に携わる、職種間の連携にも力を入れて病院運営を行っている。

 

もっと詳しくは、

http://www.marine-hosp.jp/aps/