
11月21日に全国公開となった「果てしなきスカーレット」。
〜あらすじ〜
本作の主人公は、国王である父を殺した敵への復讐を心に誓う王女・スカーレット。“死者の国”で目覚め、それでも復讐の戦いに身を委ねながら旅を続け、現代からやってきた看護師の青年・聖と時を超えた出会いを果たし、彼への信頼と愛情に、心動かされ変化してゆく感涙の物語。
前作で高知を舞台にした「竜とそばかすの姫」を制作した細田守監督の最新作ということもあり、高知県でも盛り上がりを見せている。
公開翌日である11月22日、なんと細田監督がほっとこうちに来社! その内容をWeb限定でお届け。

-まずは、高知に来てくださってありがとうございます!
3年ぶりに高知に来て、懐かしい気持ちです。前作の公開の時は新型コロナウイルスがちょうど流行して、せっかく高知を舞台にした映画だったのに来れないっていう状況になっちゃって。それが心残りだったんですけど、やっと戻ってくることができてよかったです。
-前作と同様、今作でも美しく壮大な風景が印象的で、日本のアニメーションの進化を感じられました。
前作と関連づけるわけじゃないですけど、「竜とそばかすの姫」は手描きでありCGでもあるみたいな画作りをしていて、インターネット上の世界である<U>の世界をCGの画で作って、現実世界のパートを手描きで表現しました。その作り方は今作にも繋がっていると思います。
-オープニングの「死者の国」の描写もすごかったです。
実はあれ、本当にある風景を参考にしたんですよ。
ドーハからヨルダンに向かう飛行機から眼下に広がる砂漠がベースになっています。地平線までその景色が続いていて、すごい光景でした。
-それは舞台を決めるために行かれたんですか?
前作で高知を訪れたように、今作では中東のヨルダンにロケハンで行って、そこで見た風景からの影響があります。
大きな宗教が生まれた場所は、やっぱり人々の願いみたいなものが集まる場所だと思いました。
かなりワールドワイドな世界観になりました。
©️2025 スタジオ地図
-主人公、スカーレットの人物像はどのように決められたんですか?
僕には9歳になる娘がいるんですが、これから不透明な世の中を強く生きていってほしいという思いを、スカーレットに託して描きました。スカーレットほど強い娘じゃないんですけどね。(笑)
前作で高知に何度か足を運んだんですが、その時に強くて明るい高知の女性にたくさん出会いました。その経験もスカーレットという人物像に生きていると思います。
-スカーレットも本当はどこか弱い部分を感じられるシーンがあるように思いました。
王女という立場や復讐したいという思いが、強い人間であるかのように見せていますが、不安や弱さを抱えている僕たちと変わらない、リアルな人だという場面を随所に感じてもらえると嬉しいです。
渋谷のシーンでもそうですが、環境が違えばもっと違う生き方があったんじゃないか、と自問自答している姿は、現代を生きる人にも通ずるところがあると思います。
©️2025 スタジオ地図
-スカーレットにとって、もう一つの生き方を見せてくれるパートナーの聖という存在は、どのように生まれたんですか?
実は前作を制作している最中に、僕、新型コロナにかかって入院しました。その時の看護師さんがすごく親身になって励ましてくれて、「こんなにも他人を思いやれる人たちがいるんだ」と感じたところから聖という人物像の着想を得ました。アニメーターが絵が上手なように、看護師さんも利他の精神があふれるような、才能があるんだと思います。
人を倒そうとしている復讐者と人の命を助けようとしている看護師が、一緒に旅をするという対比も面白いんじゃないかな、という思いもありました。

-監督にとって物語の種は身近なところから来ているんですね。
身近なところにすごく影響されちゃうんですよ。スカーレットもスケールは大きいんですが、悩みは誰もが思ったことのある“身近な問い”なんですよね。
©️2025 スタジオ地図
-生きることと、虚無になることついて監督はどういう思いがありますか?
お葬式とかでもよく「天国でみんな集まってお酒飲んでるだろうね〜」なんて話よく聞くじゃないですか。そういう楽しそうな「死者の国」で嫌なことってなんだろうって思った時に、僕は消えてなくなることとか忘れ去られることだと思ったんですよね。
現代でも消えてなくなりたい、って思うこと多いと思うんですよ。でも消えてなくなりたいと思うことで、より生きていることを感じる、死を描くことでストレートに生きるということを伝えられた映画になったと思います。
©️2025 スタジオ地図
-監督はこれからの未来を作る若者をどう見ていますか?
みんな賢いんですよ。だから無理ができなかったり、先を読みすぎたりして気をつかって、大きなチャレンジができなかったり。勿体無いなと思うんです。自分のやりたいことや将来にむかって、がむしゃらになることも時には必要なんじゃないかなと思います。
-スカーレットの生き方になんだか似ていますね。
もがいてでも、カッコつけずに這いずり回ってでも、したいことがあったらする。それを続けることで道が開けていくと思います。

-せっかくなので、高知県に関する質問も少し…! 監督から見た高知の魅力ってどこにあると思いますか?
自然が豊か、ご飯が美味しいってみなさん言いますよね。それはもちろんそうなんですよ。でも僕はその風土の中で育まれた明るくて清々しい人柄がいちばんの魅力だと思っています。
-いやぁ、嬉しすぎます!
そんなのいくらでも語れますよ。テーブルにお酒を持ってきて貰いたいくらいです。大好きな鰹のタタキも青さの天ぷらもセットで。
-高知を満喫してもらうことが私たちにとっていちばん嬉しいことです。
高知が面白くて、魅力的だってこともっと知ってもらいたいですよね。まだ安芸市とかにも行ったことないのでぜひ行きたいです。

-最後に高知のファンに向けてメッセージをお願いします!
高知のみなさんの応援のおかげで「竜とそばかすの姫」は良い作品になったと思います。
その経験が「果てしなきスカーレット」を作ることにすごく繋がりました。主人公の髪も同じピンクだし、キャラもどこか似てるし、ある意味姉妹作品だと思って見てもらえると嬉しいです。
「竜とそばかすの姫」はコロナでみなさんに直接お礼を言いにくることができなかったので、4年半越しにやっと高知に来られて嬉しかったです。
ぜひ、劇場で「果てしなきスカーレット」をお楽しみください。
細田守監督、ならびに関係者の皆様、本当にありがとうございました!
握手したい! 写真撮ってほしい!
という煩悩まみれの私たちにも優しく対応してくださって、最後はすっかり監督の虜になりましたとさ…〜Fin〜
(おまけ)監督がいらっしゃる前のそわそわドキドキ準備風景。
『果てしなきスカーレット』
監督・脚本・原作:細田守
出演:芦田愛菜
岡田将生
山路和弘 柄本時生 青木崇高 染谷将太 白山乃愛 / 白石加代子
吉田鋼太郎 / 斉藤由貴 / 松重豊
市村正親
役所広司
全国で上映中 公式サイト
ⓒ2025 スタジオ地図