静かな郊外に佇む一軒の和食屋。和モダンな暖簾と小さいながらも存在感を放つ枯山水がお出迎え。ロケーションと相俟ってか、自然と期待感が煽られる。
内観も和を貴重としており、カウンター以外は掘りごたつの完全個室。これは落ち着く。
もちろん上質なのは空間だけではなく、店主が素材から拘り抜き作られる料理は逸品が揃う。中でも「くずし会席コース」のひと品「土佐和牛とウニの炙りイクラのせ」は必食。A5ランク和牛の上を海の宝石が陣取る。サーブされた瞬間から味覚を刺激する、まるでオブジェな一皿。
また、店内に構えた生簀から豪快に盛りつけられる貝焼きも「八千萬ず」に来たならマストで味わいたい。なお、それらを焼き上げるのは四国ではここにしか無いノンダクトロースター。煙や臭いを抑え、味を昇華させるという。女性のみならず、臭いに敏感な男性にも嬉しい限り。
他にも季節を感じられる本格和食など、職人技が光る品々が揃うのにも関わらず、価格設定は極めてリーズナブル。それが故、日常の延長線の上質へさらりと連れて行ってくれる。街中の喧騒を抜け出し、美酒に酔いしれたいなら、まずは「八千萬ず」に行かない手はない。